軒先の憂鬱

粗悪なる闇石鹸

砂時計

学生時代の僕の心は劣等感に蝕まれていて、物とも人とも健全な関係など築けるわけもなくほぼ全てに依存気味だった。

最近になってようやく自分の足で立って生きていくことを決めたら、当時深入りした人たちとの関係は見事崩壊した。いい機会なので煙草や酒やゲームとも距離をおくことにした。ちゃんと自分の気持ちを聞くようになった。

健康な自分の人生が始まってほんの少ししか経っていないわけだが先日、頸部に腫瘍が見つかった。大したことないらしいが摘出が第一選択だそうなので、おそらく手術をすることになる。正直超怖いマジで全てがバカクソ怖い。検査のために細胞を取られるのもかなり嫌だったし失敗されたら神経麻痺らしい。摘出せずに放置したら時限爆弾を抱えて生きていくことになる。勘弁してくれよ。

将来的に悪さするかもしれないから念の為摘出という感じだそうで、あまりメリットを実感できない。気ぃ重。

たかだか1週間の入院だが、心配ごとだらけだ。万が一手術が失敗したときのために色々と用意せねばと考えるようになった。あんなに死にたかったのに笑ってしまう。よくある話だ、本当にどこまでも凡人。

検査結果を聞くまでしばらく猶予があるので散財しまくっている。強い刺激を受けている瞬間は手術のことを忘れていられるが、何をしていても割とすぐダメになるね。

僕の好きな作家は夭逝の天才だった。彼は病弱で、幼い頃から何度も手術を繰り返して僕とそう変わらない年齢で亡くなった。彼もやはり手術台に上がるのは怖かっただろうか。そして何の努力もしたことのない自分の烏滸がましさを自覚し、しばしの逃避行は終了する。頑張れる気はしない。

は~あ。